甘い女と月の男
翌日、学校に行くと、昨日より大きな人だかりができていた。

あ、またあたしなんかされたのかな?

そんな軽い気持ちで中心を覗きこむと。

「うそ……でしょ……」

あたしの教科書、上靴、鞄、体操着など全部の持ち物が真っ赤に染まっていた。

その上、ズタズタに引き裂かれていた。

誰、こんなことやったの……。

あたし、何にもしてないじゃん。

悪い事なんて何にもしてないじゃん。

どうしてこんなことされなきゃなんないの?

意味分かんないよ。

あたしはもう耐えられなくなってその場を駆け足で立ち去った。
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