Dear Song
溢れ出す、涙。


兄の演奏を聴き、あたしは、、、兄に負わせてしまった怪我のことを、、、


、、、深く、深く、後悔した。


そして、これ以上、、、


兄の演奏を聴けない。


そう思い、あたしは会場を飛び出した。


「、、、瀬、、、ん」


誰かに、名前を呼ばれたような気がしたが、、、


あたしは少しでも、兄の演奏から耳を塞ぎたくて、、、


我武者羅に、走った。


どこを、どう走って来たか、わからない。


だけど、見覚えある道に出ていて、、、


そこで、あたしは息を整えた。


「、、、さ、ん。百瀬、、、さん?」


先ほどと同じ声が聞こえて、ゆっくりと振り返る。


そこに立っていたのは、悠夢で、、、


あたしは涙を隠すように、俯いた。

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