Dear Song
何時間にも感じるし、本当はたった数分なのかもしれない。


時間の感覚さえ、あたしには良くわからなかった。


「ふざけんなよ!!」


急に、診察室から聞こえてきた兄の怒鳴り声。


それに、兄の怪我の様態は相当悪いんだとわかった。


重い体を引きずるように、あたしはゆっくりと診察室のドアを開けた。


「手術なんか、するわけねぇだろ!!」


兄がお医者さんに、食って掛かる。


いつも温厚な兄にしては、珍しい光景だ。


お医者さんがあたしに気付き、看護師さんの顔を見る。


「百瀬さんの、ご家族の方です」


看護師さんが、あたしのことをお医者さんの説明する。


「君からも、言ってくれないか?手術、するように」


お医者さんが、あたしに言う。

< 148 / 392 >

この作品をシェア

pagetop