Dear Song
練習場所に着いた時には、汗だくだった。


「おせぇ」


ドアを開けたあたしに、不機嫌そうに奏は言い放つ。


「ごめん。急いでは、来たんだけど」

「別に良いじゃねぇか。ライブだって、あるわけじゃねぇんだから」


奏の言葉に、伊吹は言う。


「あれ?チャキが楽器持ってくるのって、初めてじゃない?」


瑠奈はあたしが手にしていたアコギを見て、言う。


「あのさ、みんなに聴いてほしい曲があって、、、」

「曲?」

「うん。今日、学校に居たら、、、音が、、、浮んできて」


あたしは手にしていた荷物を適当に置き、ケースからアコギを取り出す。


「ヒメ、アコギ弾けるの?」

「上手くはないけど、それなりに」


瑠奈の言葉に、そう返事をした。

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