Dear Song
そして、また3人は口を閉ざす。


そんな時間が5、10分と過ぎた頃。


「覚えたか?」


伊吹が、奏と瑠奈に尋ねた。


「全部とまではいかねぇけど、それなりになら」

「あたしも。とりあえず、ここからここまで合わせてみる?」


勝手に、そんな会話をし、3人は自分の楽器を手にする。


ドラムを囲むように、3人で出だしを確認し、演奏を始めた。


繊細で、所々に自分流のアレンジを入れた、奏の音。


存在感を示すように響き渡る、瑠奈の音。


曲のリズムをまとめ、数分の狂いもない規則正しい、伊吹の音。


あたしが作った曲は、そんな3人が奏でることで形を変える。


そう、Libreの音楽に変わるのだ。

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