Dear Song
「だって、そうでしょ?こんなに、人が居るんだよ?」


瑠奈は、体育館の様子を眺める。


「この中に、Libreの音楽を待ってる人なんて居ないかもしれない。AKIRAさんの歌を待ってる人だけかもしれない。でも、、、」


瑠奈は視線を再び、あたしに移す。


「あたし達の音楽を聴いて、好きになってくれる人も居るかもしれない。それってさ、今のあたし達にとって、プラスにならないかな?」


プラス、に、、、


あたしはもう一度、体育館の中を見る。


初めてLibreとして、ステージに立った時。


誰も、Libreの音楽を知らなかった。


すぐに、たくさんのファンが付いたわけでもない。


少しずつ、少しずつ、、、ファンが増えたんだ。

< 273 / 392 >

この作品をシェア

pagetop