Dear Song
「まだ、完璧には叩けねぇか」


兄は叩いていた手を止め、そんな言葉を溢した。


「無理、しない方が良いよ」


そう、あたしは兄に、声を掛けた。


「お前らの演奏聴いてたら、無性に叩きたくなった」


だからって、せっかく良くなってきてるのに、今無理をしたら元も子もない。


「お前ら。何処に、居るんだろうな?俺が復活した時」


何処って、、、


何処にも、行かないと思うんだけど、、、


「何言ってんの?お兄ちゃん」

「せめて、、、同じ所で、待っててくれよ?」


同じ、所?


兄は、何を言っているのだろう?


「意味、わかんないんだけど、、、」


兄は、くしゃっと笑顔を見せる。

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