Dear Song
__バシンッ__


部屋に、そんな渇いた音が響く。


頬はジンジン。と痛み、熱を上げる。


「大(だい)にでも、唆されたの!言いなさい、チャキ」


お母さんが兄の名を呼んだのは、あの日。


両親が兄と、勘当した日以来だ。


「お兄ちゃんは、関係ない。あたしが、好きなの。、、、みんなと一緒にやる、音楽が」

「あんなの、「音楽」なんて言わない。ただのお遊びよ」


違う!あたしは、遊びで音楽をやってるわけじゃない。


確かに、こないだまでは、、、


歌うのが好きで、その気持ちだけでステージに立っていた。


でも、今は、、、違う。


真剣に、音楽と向き合ってる。

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