暴走族に恋した私
「たくさん助けてもらったんでしょ、お願いだよ!もう迷惑を・・・。」
「分かった。」
もう何とも言えない。
だって、助けてもらったのは事実だから。
何度も助けてもらった、なのに私は迷惑なんかをかけたくない。
「よかった、ありがとう。」
「いいです、別に。」
「ごめんなさいね。」
白石ちゃんは静かに微笑んで、会釈をすると階段を上って行った。
きっと、屋上に行くんだろう。
彼女は屋上に着くと、仁の横に座るんだろう。
そして、二人は仲よく楽しそうに話すんだろう。
二人は、美男美女でお似合いだし・・・きっとみんな認めてくれるだろう。
「仁。」
それでも、愛しい人の名を呼んだ。
返事なんて帰ってこなかった、たださびしくその場に響くだけ。
頑張るって決めたのに、もう私は頑張れない。