暴走族に恋した私


靴箱に向かう途中に、仁とすれ違った。





仁は、私を見た。



私も見たけれど、すぐに逸らした。





自分で関わらないって決めたのに、自分は本当に馬鹿だ。



こんなにも後悔している、傷ついている。






靴を履きかえると、逃げるように学校から出た。



まだ靴をちゃんと履いてない。



踵を踏んで、靴の形がおかしくなることも気にならなかった。



ただ、私なんて必要ないって思うと苦しかった。






「はぁ・・・っ・・・はぁ。」





疲れて、立ち止まる。



そして、その場にしゃがみ込んだ。



こんなにも心が物足りなく感じるのは、みんなに出会ったからだ。



皆に出会ったおかげで、楽しいことも、嬉しいことも知った。



けど、退屈や悲しみも恋心も知った。




今はただ、心の中に穴が開いて。



空虚の世界が私を覆い尽くしている、なにもかも楽しくないよ。

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