暴走族に恋した私
「ツ―― お掛けになった電話は・・・。」
携帯の向こうから、女の人の声が聞こえる。
そして、理解した・・・繋がらなかった。
それが普通だよ、あんな勝手な行動をとって、あんなメールを送って。
今、仁は何をしているのか気になって仕方がない。
彼女の横で、笑いかけてるのか。
皆とわいわい楽しんでいるのか。
それとも――
私の事を少しでも、思い出しているのか。
あるはずのないことを思って、ばかばかしく思った。
けれども、仁の事が気になって仕方がない。
「御用のある方はツーという発信音の後、お話し下さい――。」
仁に対する言葉、そんなの一つしかない。
「好き。」
いまさら言っても遅い言葉が、口からこぼれる。
これが録音されているから、きっと仁はこれを聞くんだろうな。
そして、きっと呆れるだろう。