暴走族に恋した私


「貴方なんていなければよかったのに。」



「あとはよろしく。」






白石ちゃんは、周りの人にそれだけ言い残すと、どこかに向かった。








―――そこからは、記憶はあいまい。




覚えているのは、聞くに堪えない言葉を吐かれ、何度も殴られたということだけ。



これが、世に言うリンチなのかな?



余裕がある考えをするけれども、手はずっと震えている。



足も痛い、お腹も・・・。





「っぁ・・・っう。」





ただ、好きなだけじゃないけないの?



好きだからって、こんなことされなきゃいけないの?



目を閉じるだけで、今さっきの事が思い浮かぶ。




傷つきすぎた体の震えをギュッと、両腕で抑える。





『俺が居るから、大丈夫。』ずっと前に言ってくれた、あの言葉をもう一度聞きたい。



仁の声を聴きたい。

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