暴走族に恋した私
仁に会いたい、仁に会いたい。
――ポツン
その時、頬に一粒の水滴がおちてきた。
顔をあげると、一つ一つと落ちてくる雨の滴が目に映った。
そして、それは少しずつ勢いを増していく。
保健室にでも行って、治療をしようかな。
「っう。」
私は、脚に力を入れて立ち上がった。
あまりの痛みで倒れそうになるけれども、我慢をする。
立つのだけでも、精一杯。
足を引きずりながら、ゆっくりと歩く。
きっと、今の私の姿って無様だろうな・・・情けないな。
「ふっふ。」
自嘲的な笑みをこぼすと、また一歩ずつ足を踏み出す。
雨が私を包んで、全身がたちまち濡れていく。
寒いけれど、気にならなかった。