暴走族に恋した私


「着いていこうか?」





「ううん、大丈夫。」






私を首を横に振ると、巴は歯切れ悪そうにうなずいて手を離した。



巴は私を心配そうに見るけど、私は大丈夫。



昨日は怖かったけど、確かに逃げてばかりじゃいけない。



私は大きく息を吸って、白石ちゃんのもとに向かった。








――――――――――――――・・・・



――――――・・・・







「由奈。」





独りになった保健室で、そうつぶやいた。



泣いて腫れた目も、冷やしたおかげで腫れも引いてきた。



氷の入った袋を近くの机に置く。




きっと、由奈に秘密を話したら・・・由奈だって離れると思う。



嫌になると思う。



世間だって私たちの関係を認めない、家族だって、龍王のみんなだって。



離れていくと思う。
< 165 / 295 >

この作品をシェア

pagetop