暴走族に恋した私
着替え終わって、更衣室から出ると、営業が既に始まっていた。
先程の明るい雰囲気から、ピリッと真面目な雰囲気に変わっている。
緩まっていた気持ちが、キュッと引き締まる。
「水瀬くん、由奈さんに色々教えてあげて。」
林さんが近くにいた、同い年くらいの男の子に話し掛けた。
私は、近づいてペコリと頭を下げた。
水瀬と呼ばれる人は、少し照れ臭そうに、ボサボサになった頭を掻いた。
「接客とか、教えます・・・水瀬です。」
眼鏡を通して見える目は、キリッとしているけど、猫背で少し自信がなさそうに見えた。
やっぱり、初対面って話しづらいよね。
「まず、こっちね。」
小さな声で言うと、急ぎ足で裏方に向かった。
裏方につくと、メニューの説明と接客の仕方を説明をしてくれた。
早口だきけど、分かりやすい。