暴走族に恋した私
「この状況で、何してんの?」
お店にいたときとは口調の違う、水瀬さん。
『聞かざる、見らざる、言わざる』なんて、冗談でも言わなければよかった。
…って、いま物凄く後悔してる。
「ただのゴミ捨てです。」
私は落ちたゴミ袋を拾って、ゴミ捨て場に捨てた。
何も知らない顔して、その場を去ろうとした。
「あんた、話…聞いてただろ?」
「いや、聞いてませんよ。」
男の人は慣れた手つきで、煙草に火をつけた。
煙をふかしながら、私の目を見た。
深い海の色をした目、どこに居ても目立つような金色の髪。
一度見たら、視線を逸らせない。