暴走族に恋した私
「手袋、やるよ。」
仁はポケットから手袋を取り出して、何もなかったように言った。
私の顔はお湯が沸くように、急気に熱をこもっていく。
「今日の俺は、積極的だな。」
「わ、私!ココアにするっ。」
「ガキだな、由奈は。」
キスで顔を真っ赤になったことに対してか、ココアのことについてか。
どちらの事を、お子ちゃまと言っているのか分からなかったけど。
馬鹿にして言う事だけは、理解できた。
私は仁にもらった、手袋を持って眺めた。
少しだけ女の子らしいデザインという事に気づいた。
それに、まだ使った跡がない…おまけに値札がついている。
もしかして、新品?