暴走族に恋した私


コーヒーとココアを頼むと、持ってきたのは水瀬さんだった。






「コーヒーとココアです。」






水瀬さんが最初にコーヒーを仁の前に置いた。



そして、私の目の前にココアをゆっくりと置いた。



水瀬さんを見ると、少し伸びた前髪の間からチラリと目があった。



ドキリと心臓が鳴る、怖い、何かある。そう思った。






「あれ、誰?」






仁が水瀬さんが居なくなったら、口を開いた。






「水瀬さん。」




「水瀬…。」






仁の表情が少しだけ険しくなったのが分かる。



水瀬さんを見ると、こっちに視線を向けていた。



でも、決して私に向いているものではなかった。



仁に向けた、突き刺さるような痛い視線。
< 196 / 295 >

この作品をシェア

pagetop