暴走族に恋した私
コーヒーとココアを頼むと、持ってきたのは水瀬さんだった。
「コーヒーとココアです。」
水瀬さんが最初にコーヒーを仁の前に置いた。
そして、私の目の前にココアをゆっくりと置いた。
水瀬さんを見ると、少し伸びた前髪の間からチラリと目があった。
ドキリと心臓が鳴る、怖い、何かある。そう思った。
「あれ、誰?」
仁が水瀬さんが居なくなったら、口を開いた。
「水瀬さん。」
「水瀬…。」
仁の表情が少しだけ険しくなったのが分かる。
水瀬さんを見ると、こっちに視線を向けていた。
でも、決して私に向いているものではなかった。
仁に向けた、突き刺さるような痛い視線。