暴走族に恋した私
家に着くと、家の中は静かだった。
お母さんいないんだ…。
仁たちもいない母もいない、どこに行っても居場所がないように感じた。
俯くと何故か分からないけど、涙がじわりと溢れた。
零れないように唇をかみしめ、浮かんだ涙を拭き我慢した。
「由奈?帰ってきたの。」
「お母さん?」
リビングから母の声が聞こえてきた。
なんだ、お母さんいたんだ…誰もいないかと思っちゃった。
母の居るリビングに向かうと、その場にはどんよりとした空気が流れていた。
「どうしたの?」
「出てきたの…あの人が。」
出てきた?あの人が…?誰がどこから来たの?
首を傾けた、それと同時に玄関からチャイムが聞こえた。