暴走族に恋した私


「見てくるね。」






何かにおびえている母を置いて、玄関に向かった。



扉を開くと、思いもしなかった人が居た。






「久しぶりだな。」




「っつ。」





私はすぐに扉を閉めて、鍵を閉めた、チェーンロックも閉めた。



その場に座って、大きく息を吸った。



…お父さん?



お母さんと離婚したんじゃなかったの?私たち引っ越したのに、なんで居場所知ってるの?






―――ドンドン





何度も何度も扉が叩かれる。



私はその場で耳を押えながら、目をつぶった。




肩が小刻みに揺れた。



煙草ばかり、酒飲みで、賭博好きで、ごくつぶしで…最低な父が、なんでまた。

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