暴走族に恋した私
私は斜め下を見て、小さくため息をついた。
携帯が振動してみたので見てみると、仁からの電話が何件かあった。
心配してくれてる。
それが酷いくらいに伝わって、また切なくなった。
昨日はあんな帰り方して、次の日は気分が悪い。
だからこそ、逆に電話に出れない…どんな声で話さなければ分からない。
「斉藤 由奈さん、斉藤 由奈さん。」
名前を呼ばれて、急いで会計に向かった。
会計が終えると、微かに匂う病院から逃げるように急いで出た。
病院のにおいは苦手だ。
「きゃっ。」
急いで走っていたせいか、横から来た人とぶつかる。
私はお尻から、その場に倒れた。
ジーンとくる痛みに耐えて、ぶつかった人に謝った。