暴走族に恋した私

あと少し



「もう風邪大丈夫か?」




「うん、平気。」







頷きながら言う私の首に、ふわふわのマフラを巻く仁。



仁に電話をしてから、もう数日が経った。



あの日電話をすると、仁は体調の悪い私を気遣ってくれた。



それに我儘をたくさん言って気まずいから、電話に出なかった私にも優しくしてくれた。




…まぁ、結論から言うと仲直りしました。







「仁は風邪引かないようにね。」







私は自分の使っている手袋を仁に渡す。




でもその手袋は前に、仁にもらったもの…それに可愛らしい柄をしていて、仁には不似合い。






「由奈が使えよ。」





そういって私に手袋をはめさせる。


私はその手で仁の手を力強く握りしめた。



少しでも温かくなるように、精一杯強く握りしめた。



< 222 / 295 >

この作品をシェア

pagetop