暴走族に恋した私
あと少し
「もう風邪大丈夫か?」
「うん、平気。」
頷きながら言う私の首に、ふわふわのマフラを巻く仁。
仁に電話をしてから、もう数日が経った。
あの日電話をすると、仁は体調の悪い私を気遣ってくれた。
それに我儘をたくさん言って気まずいから、電話に出なかった私にも優しくしてくれた。
…まぁ、結論から言うと仲直りしました。
「仁は風邪引かないようにね。」
私は自分の使っている手袋を仁に渡す。
でもその手袋は前に、仁にもらったもの…それに可愛らしい柄をしていて、仁には不似合い。
「由奈が使えよ。」
そういって私に手袋をはめさせる。
私はその手で仁の手を力強く握りしめた。
少しでも温かくなるように、精一杯強く握りしめた。