暴走族に恋した私
私は周りに気を付けながら、道を進んでいく。
――ドンッ
曲がり角で人とぶつかって、お尻から後ろに倒れる。
「っつ…。」
もしかして百鬼って言う人かも。
そう考えると怖くなって、恐る恐る相手を見た。
見覚えのある人だった。
その人を見て安心して、笑みがこぼれた。
「朔…。」
浮かんでいた涙がポロリと零れた。
安心して、糸が切れたように涙がこぼれる。
朔が私が立つために、手を差し伸べてくれた。
その手を握ろうとした。
けれど朔の手は私の手を掴まず、口元に伸びて私の口を押えた。
「うっ。」
うめき声が上がる。
く、苦しい…。
どうしたの朔と言いたいけど、口を押えられて言葉が出ない。