暴走族に恋した私
「さっさと来いよ、俺が由奈をもらうから。」
『調子乗んなよ…。」
「幹部のみで来い。」
『手を出したら、お前を許さない。』
仁の一方的な強い言葉で通話は途切れた。
朔は険しい表情を一変させると、笑顔で私に携帯を返した。
薄っぺらい笑顔が癪に触って、少しの怒りを覚える。
「おい、女。」
沈黙を壊したのはソファでくつろぐ一人の男の人だった。
周りに女の人が私しかいないのを確認して、その人を見る。
めんどくさい、そんな様子が嫌でも伝わってくる。
「なんで王龍の女になった、あぁ?地位か?名誉か?金か?」
何で付き合うのにそんなことを考えるんだろう。
好きだから付き合う、そんな考えができないのかな?
でも…それは仁、王龍のトップと付き合っているか、そう聞かれるんだ。