暴走族に恋した私
「一個どころの話じゃねーだろ。」
「……。」
「いわねぇと、分からねぇ。」
最近は思いだしたりとか、そんなこと何にもなかった。
他のことで頭がいっぱいになっていた。
この状況で見られるなんて…あまり、人に見られたくなかったのに。
「とにかく俺は行く。」
男の人は私を端に避けると、階段を下りていく。
止めないといけないけど…足が動かなかった。
でも、行かないと仁が。
仁が帰ればいいのに、わたしなんか助けないでいいからっ。
「仁…かえって。」
私は一階が見える場所に向かった。
これ以上怪我をしてもらってほしくない、私は守られなくてもいい。
怪我をしてもいい、お願いだから帰って。