暴走族に恋した私
自分らしく
「おい、立て。」
泣く私の腕をつかみ、立たせたのは龍と呼ばれる暴力的な人だった。
その人は眉間にしわを寄せ、私を無理矢理引っ張ていく。
傍にあったソファに座らせると、近くにあった部屋の中に入っていった。
今さっきとは態度が一変して、正直のところ驚きが隠せない。
…同情、かな?
そう考えるとなんだか嫌だ。
可哀そうねって憐れに思われているみたいで、酷く傷つく。
『可哀そうな奴だな。』きっと、そう思われている。
「っつ…。」
私は立ち上がろうとしたら、お腹が痛くてうめき声をあげた。
そういえば、殴られたんだった。
私は自分のお腹をさすりながら、浮かぶ涙をぬぐった。
あの人に殴られたことを忘れていた。
仁のことで、頭の中がいっぱいで…他の事を考えきれなかった。