暴走族に恋した私
急ぎ足で進みだす。
何年も住んでいたので、場所が明確にわかる。
どこにいるのか、どこに行けばいいのかも。
確かにこの町で嫌なこともあったけど、仁のおかげで見方が少し変わった。
仁と出会うことが出来た、かけがえのない場所。
追われているはずなのに、懐かしくて思わず笑みがこぼれた。
あの角を曲がったら、仁と出会った公園だ。
勢いよく曲がって、公園を見ると、見たことのある後姿があった。
顔を見なくても分かる。
後姿で誰なのか。
彼はベンチに座って、空を仰いでいた。