暴走族に恋した私
今さっきまでの出来事が、まるで嘘みたいに感じる。
「由奈はどうやって抜け出した?」
頭上から突然の質問。
甘い雰囲気がガラリと一転する音が、頭の中から聞こえた。
確かにこんな質問が言われてもおかしくない。
窓から飛び降りたって言われたら、怒られるかもしれない。
「みんなの隅を見て、ひょいっと……。」
真顔の仁はなにも言わないので「あはははっ。」と付け加える。
「えっとね「静かに。」
仁が私の口をふさいだ。
仁がまじめな顔で、耳を澄ませている。
私も同じように耳を澄ませてみると、どこからかバイクの音が聞こえる。