暴走族に恋した私
暴走族に恋した私
お互いが殴り合っている。
それぞれが本気でぶつかっていて、なんだか胸を締め付けられた。
喧嘩を見るのが初めてだから、こんなにも激しいと思わなかった。
そんななか仁と朔はずっと睨みあいながら、何かを話している。
殴り合いなんかしてないのに、あの二人が一番怖い。
他の幹部を見ると、普段のみんなからは想像もできない形相だった。
見渡してみると、血は流れていても、誰も倒れていない。
皆の背中を押しているものはなんだろう。
たぶん、プライドなのかな。
「由奈!」
名前を呼ぶ声が聞こえて、あたりを見渡すと、横から巴が私のもとに駆けてくる。
巴がすぐそばにくると、全力で私を抱きしめる。
巴の抱きしめる力は意外にも強かった。