暴走族に恋した私
お皿に乗ったオムライスが、半分になる頃に仁さんが口を開いた。
「アイツのこと悩まなくて、いい。」
そう言う仁さんの横顔が、視界に入り込む。
私は、ありがとうございます。と小さく呟いた。
傷は、完璧に治らないかもしれない。
けど、今は解放されたことだけで嬉しい。
「でも、」
仁さんが引き続き、何かいおうとした。
私が首を傾げると、やっぱりいい。と口を紡いだ。
一体、どうしたんだろう?
まだ、雄也さんの事について話したいことがあるとか?
「まぁ、これから自分の家に帰れるな。」
最後の一口を食べながら言う、仁さん。
家に帰らなくちゃ行くないんだった。
でも……家に帰っても気まずいだけに違いない、帰りたくない。