暴走族に恋した私
「どうした?」
「なんでもない。」
あっ、ないんだ。
私はもといた場所に戻ろうとしたが、腕を急に掴まれた。
仁が私の手を掴んでいた。
ぐいっと、私の横に引っ張った。
「座れよ、ここに。」
ドキッ
真面目な顔でそんな事言われたら、ドキドキする。
ちょっと、期待する。
無意識でやってるならやめてほしい。
女子は弱ってるときに、そんなんされたら落ちやすいんだよ。
「由奈、顔真っ赤〜!」
「ちょ、そんなこと…もう、巴!」
巴が私を見て、クスクス笑う。
確かに顔を触ると、熱が籠ってる事が分かった。
「なに、緊張してんの?」
仁が私に聞いてくる。
「全く。」
「顔真っ赤だから、説得力ねぇな。」
仁が口の端を上げながら、私の髪を触った。
まただ、また胸が鳴った。