暴走族に恋した私
「守れなくて、ごめんな。」
仁は、治療が終わると俯きながら謝った。
表情は見えないけど、声色は暗い。
「逆だよ、ありがとう。仁が居なかったら、私はもっと傷ついてた。」
ありがとうじゃたりないくらい、感謝している。
仁のおかげで、私はこうして幸せになったし。
本当にありがとうだよ。
「こんくらい、感謝してるから。」
私は腕をめいいっぱい広げて、満面の笑顔を見せた。
「ん、分かった。」
仁は少しだけ笑って、風呂に向かった。
本当に感謝してるのが伝わればいいのに。
想いが伝わる機械があればいいのに、私は聞こえてくるシャワーを聞きながら思った。
そして、柔らかいベッドの誘いによって眠りについた。