神様の憂鬱
「相変わらずキレイだねぇ、弁財天」

「あら、もったいのうお言葉でございますわ。

でも、うれしゅうございます」

薄く頬を染め、それでもまんざらでもないようににっこりと微笑む。

「こんな所にいたんだね。知っていれば、もっと早く来たのにさ」

手を伸ばして黒髪に触れようとするボクの手を、やんわりと白い手が押し返した。

ボクは、そんな弁財天の行動に軽く眉を細めたが、またすぐに笑顔を作った。

ま、久しぶりに会ったことだしね。

「大黒は、いないの?」

隣の社を目で指して訊ねると、どうやらお出かけ中とのこと。

二日前から留守にしているらしい。

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