神様の憂鬱
目の前で紗良奈が眠っている。

規則正しく胸を上下させて、スースーと寝息をたてている。

涙を流す瞳を閉じさせたのは、つい数時間前。

力を使ってしまったけれど、こういう場合なら天歌も許してくれるだろう。

自分の利益のために使用したのではないのだから。

死にたい――と紗良奈は言った。

実際に口にしたわけではないけれど、それよりも強い思いが彼女の中にあるのは事実。

それほどまでに思いつめているのはなぜだろう?

そうさせてしまうほどの悲しみの原因は?

それを探るためには、力を使うのが一番手っ取り早い。

こうして考えている時間が無駄に思えるぐらいに簡単だ。

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