神様の憂鬱
けれど――

約束しちゃったしなぁ。

呟いて、水気の残る寝顔を見つめた。

今の彼女には、悲しみはないはずだ。

一時的にせよ、ボクが取り除いてしまったから。

ただただ、夢も見ずに眠っているはず。

今だけは、全ての感情から解き放たれているのだろう。

安心しきった子供のような寝顔だ。

ボクにとっては――どの人間も、かわいい子供のようなものだった、昔は。

いつから、こんなにも人間を嫌いになってしまったのだろう。

もう思い出せないほど、遠い過去のことなのかもしれない。

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