神様の憂鬱
「でも良かったよ。大黒じゃなくて弁財天、おまえがいてくれて。

むさくるしい男と向かい合っていても楽しくないしね」

弁財天はまたうっすらと微笑む。

この笑顔を見ているだけでも、先程の男のことなんてどうでも良くなってしまう。

ラッキーだね、ボクは。

「ところでさ。きみの名前、なんだっけ?」

飛んできた小鳥を視界の端にいれ、聞いてみた。

「あたくしの名前、でございますか?」

肩にとまった小鳥の羽を優しく撫でて、彼女が呟く。

「そう、きみの名前だよ。教えておくれ」

少し小鳥をうらやましく思いながら言葉を重ねた。

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