神様の憂鬱
「どこでもないって?」

「どこかにあるのかもしれないけど、わたしの頭の中にある風景よ」

恥ずかしそうに彼女が呟く。

「ふーん」

彼女からカップを受け取った。

またこぼしてしまうと嫌なので、少し離れて口をつける。

変な味、やっぱ。

「それ飲んだら、出かけるから」

頬杖をついてボクを眺めながら、彼女が言った。

「どこに?」

「あなたと会った場所。弁財天様のところよ」

< 121 / 200 >

この作品をシェア

pagetop