神様の憂鬱
夜になった。

紗良奈は――今日も涙を流す。

ボクは、そんな彼女を眺めている。

そうすることしかできない。

呼びかけても、ボクの声は届かないのだから。

空気を震わせることはできても、彼女の心までは届かない。

聴こえないどころか、ボクを見ることもしない。

ボクにできるのは、ただ彼女を寝かせるだけ。

この世界から、安らかな眠りの世界へ送ってやるのみ。

昨日までは、それでもいいと思っていた。

けれどそうしていても、なにも解決はしない。

このままでは賭けに負けてしまう。

いや、もともと期限を決めてあったわけではないから、

負けることはなくても勝つことはない。

でも――

力を使えないボクは、なにもできない。

心や頭を覗けば、その時点でボクの反則負けだ。

さて、どうしたものか――

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