神様の憂鬱
眠りの世界に落ちていった紗良奈を見下ろし、散々悩んだ。

ただ、悩んでも、いくら神たるこの脳の知識を総動員しても、答えが見つからない。

最善の対処法が浮かんでこない。

そして、そのたびに胸の奥でちくりと痛みが走る。

紗良奈の笑顔が見たいだけなのに。

彼女が幸せそうに笑う姿が見たいだけなのに。

ボクでは無理なのかもしれない。

天歌が、無理だと言ったように。

そう思うと、締め付けられるような痛みが身体を襲った。

暗い部屋の中、胸を抑え顔をしかめる自分の姿が鏡に映った。

こんな自分は見たことない。

ボクは――

いったいどうしてしまったんだ?


< 143 / 200 >

この作品をシェア

pagetop