神様の憂鬱

世界を壊す?

「なりませぬ」

天歌は今までとは打って変わって、真剣な顔つきで言った。

「それだけはなりませぬ。人間を、この世界を見守っていくのは、

あなた様の大事なお役目ではありませぬか」

「そうだよ。ボクの役目だ。だから、壊すのを決めるのもボクの自由だろ」

「それは違います!」

彼女が、きっぱりと言い切った。

「それは間違いでございます」と。

「どうして? ボクはこの跡目を継いだときに、前の主から言われている。

『ダメだと思えば、一度壊してやり直しをするように』と」

「そんな――」

天歌が悲痛な声を出し、再び人間たちを眺めた。

そこには、様々な形の人間がいる。

もちろん、その心の中も様々だ。

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