神様の憂鬱
「そうじゃない。そうじゃないけど、なんか拍子抜けしちゃったというかさ、

コーヒー淹れてくれる? とか言われるし」

「よかったではありませぬか」

「よかったのかなぁ。天歌は、どう思う?」

「なにが、でございますか?」

「紗良奈だよ、わかってるくせに」

「紗良奈の、なにが、でございますか?」

なおも問いを重ねてくるので、

「天歌はほんと意地悪だよねぇ」

空を見上げて呟いた。

隣で、ころころと鈴を転がすように天歌が笑う。

「聞いてみればいいではありませぬか」

「だから、聞いてるんでしょ!」

ぼんやりと漂わせていた視線を天歌に突き刺した。

すると天歌は、ふるふると頭を振った。

そして、最近では見慣れた後姿を真っ直ぐに指差す。

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