神様の憂鬱
コトン、とペンが紙の上に落ちる。

両手を天井に向けて真っ直ぐに伸ばし、首をコキコキと鳴らす紗良奈。

チャンス到来、とばかりに、

「ねぇ」

と話しかけてみた。

なに? というように小首をかしげ、濃紺な瞳がボクを見た。

「聞きたいことがあるんだ」

「どうぞ」

苦笑交じりに彼女が呟く。

けど――

困った。

なんと聞いていいのかわからない。

「どうしたの?」

不思議そうに彼女の身体が向き直る。

「夜のことなんだけど――」

呟くと、

「夜?」

小さく返された。

< 156 / 200 >

この作品をシェア

pagetop