神様の憂鬱
「どうか、今一度だけ考え直してはいただけないでしょうか? 

この天歌に免じまして」

訴えかけるようにボクを見る。

人では在らぬというのに、心から人を庇(かば)おうとしている。

何故――?

「どうして、きみはそんなにも人間を庇うんだい? 

この世界を見ればいい。

彼らは自然を汚し、それでも飽き足らず自ら壊し、文明ばかりを築きたがる。

裕福になれば満足するかと思いきや、他人のモノを欲しがり、奪い、他者を押しのける。

そのためには平気で嘘をつき、他人を傷つける者たちばかりだ。

そこには争いしか生まれないというのに。

彼らは、争いばかりを繰り返す。

まるで、それを楽しんでいるかのようにね」

ボクが告げると、

「確かにそうかもしれません」

彼女の瞳に悲しみが宿る。

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