神様の憂鬱
「なんだおまえ?」

大声で叫ぶ男の目に、危なげな光が灯る。

けどまぁ、ボクにはたいして関係ないけどね。

「紗良奈、帰ろっか」

男を無視してボクが声をかけると、一瞬わけがわからない顔をする。

無理もないのかも。

突然、知り合いが空から降ってくれば、普通の人間は驚くのが当然で、

むしろこの男達が平然としているのが不思議なくらい。

「邪魔だよ、おまえ」

男がゆっくりと手を伸ばしてきた。

「ボク? ボクが邪魔だって? 邪魔なのはおまえだよ。人間」

一歩後ろに下がり、男の手をよけた。

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