神様の憂鬱
「ま、別に殺したってよかったんだけどね。人間の一匹や二匹」

「ダメよ!」

彼女が必死な声で叫ぶ。

だから、

「冗談だよ、冗談」

慌てて言葉を付け足した。

そして、

「帰ろう」

伸ばした手は、今度は避けられなかった。

それどころか、逆に両手で力強く握り締められる。

「もし――」

彼女がぼそっと呟いた。

「もしあなたが本当に神様なら――

――わたしの願いを叶えてくれますか?」


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