神様の憂鬱
「天歌」

小石の山を見下ろしながら、小声で名前を呼んだ。

「ここにおります」

隣に天歌が腰をおろした。

物音ひとつしなかった。

まるで、この世界が今だけ止まってしまったかのように。

慰めてくれる小鳥たちも、今は眠っている。

紗良奈がベッドで眠っているのと同じに。

「全部、知ってたんだろ?」

「全部――ではございませぬ」

いったん言葉を区切り、

「半分よりほんのちょっと多いぐらいでございます」

と言った。

「そう」

ボクはそれ以上追求することなく、再び小石を救って落としはじめた。

< 180 / 200 >

この作品をシェア

pagetop