神様の憂鬱
天歌はボクを真っ直ぐに見つめ、ふいっと視線をそらした。

彼女の視線の先を追ってみると、そこには一人の人間の女。

女は、一直線にこちらに向かって歩いてきているようだ。

天歌は、その女を慈しむような目で見つめている。

やがて、女はボクたちのいる社の前で足を止めた。

そして硬く瞼を閉じ、ぶつぶつと祈りのようなものを捧げている。

ま、どこにでもいる人間の女だよ、ボクにはね。

天歌はしばらくその女のことを見守るように視界に入れ続け、再び顔を上げた。

「ほら、こうしてあたくしたちに祈りを捧げる者だっております。

それでも、あなた様は壊してしまうのですか?」

「そうだよ。決めた、ボクはこの世界を終わらせることにするよ」

彼女の言い分もわかるけれど、ボクにだって言い分はある。

ボクはもう、嫌なんだ。

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