神様の憂鬱
追いかけるようにやってきた天歌が、

「これでゲームは終わりでございますね」

と言った。

「ああ、終わったね」

今では見慣れた背中からまだ目が離せないままで呟き返す。

「賭けは、あなた様の勝ちでございます。

約束どおり、この世界を壊してしまうおつもりですか?」

「ああ、そうするつもりだよ」

感情を伴わない声で告げた。

すると、天歌がボクの耳元で囁いた。

「あなた様の愛する、紗良奈ごと巻き込んでですか?」と。

ボクは右手を頭にやり、髪の毛をかき混ぜながら、

「ずるいよねぇ、天歌は」

「ごめんなさい」

天歌がイタズラっぽく呟く。

「主様は、天歌のことがお嫌いですかと?」

と添(そ)えて。

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