神様の憂鬱
「人間も、それほど悪いものではないでしょう?」

天歌が、目を閉じて呟いた。

確かに、あの女の言葉は神たるボクの心にも届いた。

『いい? 人が心からごめんなさいをしたら許してあげるものなのよ。

ごめんなさいって言葉は、そのためにあるの。

だからもし自分が誰かを傷つけてしまった時は、ごめんなさいをしましょうね。

その人が自分のことを本当に好きなら、許してくれるはずなのよ。

あなたは、本当にパパのことがだいっきらいなの?』

ボクは――

――本当に人間のことがだいっきらい?

ごめんなさい、か。

あの男も、素直にごめんなさいと伝えればよかったのかもしれないね。

ボクの力なんてものに頼る前にさ。

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