神様の憂鬱
「させませぬ」

天歌が鋭い声で言った。

先程まで浮かべていた微笑は消え、挑むようにボクを見る。

「このあたくしの身を挺(てい)してでも、そのようなことはさせませぬ」

「へぇ、きみがボクを止められるとでも思っているのかい? このボクをだよ?」

ボクの瞳にも、鋭い光が浮かぶ。

それは、天歌の表情が一瞬ひるんだことでもわかる。

彼女は、神の中の神であるボクに、喧嘩を売ろうとしているのだ。

「そうですわね」

力をなくし、彼女が言った。

「あたくしごときの力では、あなた様を止めることなどできませぬ。

それくらい、わかっております。だからこそ、頼んでいるのではないですか。

どうか、どうかもう一度だけ考え直してくださいませ」

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